業務効率向上に向けた切り札として注目の高まっているキーワードに「ハイパーオートメーション」があります。Automationと名前につくとおり、業務の自動化の一種です。
これまでにも自動化・オートメーションに関わるキーワードはテクノロジートレンドに度々登場しており、様々なソリューションが提供されています。今注目の集まるハイパーオートメーションはどのような技術を使い、何が変わるのでしょうか。
本記事ではハイパーオートメーションの概要や注目の理由、自動化ソリューションについて紹介します。
ハイパーオートメーションとは業務の自動化を実現する技術です。
特徴的なポイントとなっているのが、ML(機械学習)、AI、RPAなどの先端技術や既存の仕組みとの連携を駆使し、組み合わせることにより、より高度な自動化を図っていることです。
また、これまでのオートメーションは、業務の特定分野を自動化し効率化するために利用されてきました。しかし、ハイパーオートメーションは業務全体を適用範囲とし、組織の業務プロセスをすべて自動化する仕組みを作り上げることにも繋がっています。
ハイパーオートメーションに注目が集まった理由の一つとして、IT分野を中心とした世界的なコンサルティング企業ガートナー社の戦略的テクノロジのトップ・トレンドに2020、2021の2年連続で取り上げられたことがあります。世界の企業が今後取り入れていく技術であるとハイパーオートメーションは注目されているのです。
⇒2020年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド
⇒2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド
ハイパーオートメーションに類似したキーワードについて整理しておきましょう。
オートメーション(Automation)は自動化を意味します。世界中のあらゆる企業や組織がオートメーションによる業務の自動化と効率化、生産性向上を追い求めています。ハイパーオートメーションもこのオートメーションの一種といえます。
マーケティングオートメーションはWebマーケティング施策の自動化、効率化、省力化を図る自動化です。CRMやメール配信管理などを一元化するツールのことを指す場合もあります。
オートメーションの中でもAI(Artifical Intelligence)とRPAを組み合わせたオートメーションをインテリジェントオートメーション(Intelligent Automation、IA)と呼びます。IAはハイパーオートメーションの一種に含まれる関係です。
ハイパーオートメーションに期待が集まり注目されていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。ハイパーオートメーションによるメリットは主に以下の3つです。
オートメーションの基本的なメリットとして、業務を機械によって自動化させることにより業務効率化、生産性の向上に繋げられることが挙げられます。これは労働人口の減少が進んでいく中での対策にもなりますし、ニューノーマルな時代において人が集まって仕事ができなかったり、仕事に場所的な製薬がある場合の問題点解消にも繋がります。
ハイパーオートメーションの適用により相乗効果があると考えられているのが、データの蓄積とその活用によるさらなる業務の改善です。
ハイパーオートメーションの実現は業務のデジタル化に他なりません。ハイパーオートメーションが実現された業務の内容はデータとして扱われ、それらが日々蓄積されていきます。蓄積されたデータはデジタルツインと呼ばれる業務の複製であり、AIが利用するデータとして、データサイエンスでの分析の対象として有用なものです。このデータが業務のさらなる改善に繋がると考えられます。
ハイパーオートメーションの実現により期待される効果の一つとして、業務の専門性が下がり、専門性の高いスキルが必要な仕事も人を選ばずにできるようになることがあげられます。「専門性の民主化」ともいわれるものです。
ハイパーオートメーションは先端技術を利用し、それらを組み合わせて業務プロセスの自動化を実現します。そこには、どのような技術が利用されるのでしょう。
RPA、ローコード、AI、MLといった技術は、オートメーションの分野で活用される技術です。現在も有効な活用法が検討され、進化の続く先端技術分野といえるでしょう。
RPAはRobot Proccess Automationの略で人間の行っている業務をロボットが変わって行う技術です。ここでいう業務はコンピュータ上の操作などの知的労働が当てはまることが多く、物理的なロボットに限られません。
ローコードは少ないコード記述でアプリケーションの作成を行う技術およびそのためのプラットフォームです。GUIを用いて部品を組み立ててアプリケーションの構築が可能です。近似の技術として、ノーコードもあります。
AIは人工知能のことで、各種の人間が行うような判断をコンピュータが代替する技術です。アルゴリズムや学習により判断の精度を高めることができます。
MLはMachine Learning(機械学習)で、AIの一種です。データを使って学習し、判断精度を高めることができます。
ハイパーオートメーションは業務全体の自動化に向けたテクノロジー、施策です。上記の先端技術と既存の業務で活用するERP、SCM、CRMといったITシステムを連携することにより業務全体の自動化を図ります。
DX実現の一つの方法であるハイパーオートメーションの導入ですが、その場合に課題となるのが以下のポイントです。
ハイパーオートメーションでは横断的に企業の業務プロセスを繋ぎ自動化を図ります。そこで問題となるのが、既存のデータがそれぞれの業務分野によって独自の形となってしまっている、いわゆるサイロ化です。
ハイパーオートメーション実現に向けて、データの統合、統一化は重要なポイントです。
ハイパーオートメーションの実現によるメリットを多く記載しましたが、プラットフォームの導入および業務構築にかかるコストがメリットを上回ってしまっては導入はできません。プラットフォームの検討とコストメリットを天秤にかけながら進める必要があります。
IT、デジタル技術の活用において、常についてくるのがセキュリティリスクです。インターネットの活用は大きな利便性に繋がっていますが、それと同時にサイバー攻撃のターゲットとなりえる接続を行っています。ましてや、業務プロセス全体をオートメーション化する場合には、データは業務の全てを表すものとなるため、セキュリティ対策の重要性が高まります。
ハイパーオートメーションはデジタル技術による業務変革をもたらすものです。まさに、DXの実現の一つの形といえます。
企業の活動そのものに大きな変化をもたらすことが期待される技術です。既存の業務で自動化を検討する場合は、ハイパーオートメーションのメリットや問題点をクリアにし、導入していけるとよいでしょう。
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