令和3年5月、電子帳簿保存法(電帳法)が改正されました。この改正は令和4年の1月1日より適用され、企業における帳簿や書類のデジタル化をますます進めるものとなりそうです。
令和3年5月、電子帳簿保存法(電帳法)が改正されました。この改正は令和4年の1月1日より適用され、企業における帳簿や書類のデジタル化をますます進めるものとなりそうです。ペーパーレス化はもとより、デジタルデータ化することでITシステムで扱いやすくし、業務効率を高めること、ひいてはDXの実現にもつなげたいところです。
本記事では、令和4年の改正適用(令和3年度改正)に備えて、電子帳簿保存法とはどのようなもので、改正で何が変わったのかを再確認します。
電子帳簿保存法は正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」という法律です。以下、詳細を記載します。
電子帳簿保存法は国税納付に関連する帳簿、書類を電子データで保存することを認める法律です。また、電子取引におけるデータについては、保存を義務付けています。国税庁のサイトに法律の要件や改正点がまとめられているので参照ください。
従来、国税に関係する帳簿、書類などは紙で一定期間保存することが義務付けられていました。しかし、紙で保存する場合、印刷費用や保管スペースなどのコストが生じてしまいます。エコロジーよびSDGsの観点からも問題視されます。また、電子商取引等が増えて来たことにより、紙での保存は実運用と合わなくなってきていました。
さらには紙の帳簿、書類ではアクセスの制限や経年劣化による破損などの問題もあります。近年では社内の重要書類が持ち出されるセキュリティ事故も発生しており、企業のセキュリティ対応やガバナンスが問われる状況となっています。コンプライアンスやガバナンスの強化という面でも、紙での帳簿、書類の保持は現代企業の実態とは合わないところが出てきていました。
そこで、電子データでの帳簿、書類の保存を認めることで、業務負担を軽減する電子帳簿保存法が作られたのです。
電子帳票保存法の対象となるのは、国税関係帳簿、国税関係書類です。あわせて国税関係帳簿書類とも呼ばれます。
国税関係帳簿は仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿類です。
国税関係書類は決算関係の書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)、取引関係書類(見積書、契約書、請求書、領収書など)が対象となります。
なお、取引関係書類のなかでも相手から受け取るものについては、後述のスキャナによるPDF保存の対象となります。
保存の方法にはデジタルデータの保存と紙帳票のスキャナによるPDF化保存があります。
電子データ(電磁的記録)で保存を行うものです。コンピューター上にファイルとして帳簿、書類を保存します。電子保存とも言います。対象となるのは国税関係帳簿、国税関係書類のうち決算関係書類と自己で発行する取引関係書類です。 国税関係書類のうち相手から受領する取引関係書類においては、自己でコントロールすることができず、電子データとしての扱いができない場合があります。この場合は、紙の帳票をスキャナで読み取り、PDFファイルとして保存する形式が認められています。 ※令和4年1月1日より適用予定となっていた「電子取引に関する電子データの保存」の義務化については、令和5年12月31日までの間を猶予期間とする経過措置が取られることが、2021年12月10日に令和4年度税制改正大綱(自民党、公明党)により発表されました。このため、全てが令和4年1月1日から適用開始ではなくなったことにご注意ください。 この改正の中で大きな変化だったのが、電子取引における電子データの保存を「義務化」するという点です。義務化された場合には、電子データが保存されていなければ取引を証明できなくなる事態まであり得ます。より厳格に、手続き書類の保存を行わなければならず、ITシステムによる自動保存などの対策が必要となります。 電子帳簿およびスキャナ保存については、今後の扱いが注目されていましたが、従前どおり電子での保存を認めるとされました。 電子取引のデータ保存について、ただデータを保存すればよいのではなく、データは正しいものであるという「真実性」、誰でも目で見て確認できるという「可視性」の確保が必要と定められました。関連書類の保存などを行う必要が出てきそうです。 真実性、可視性を電子取引のデータに対して確保するには、タイムスタンプの付与、帳票データとデータベースに格納されている業務データの付き合わせなどの対処が必要となります。また、作業漏れが発生すれば、税務調査の際に問題となってしまいます。 「真実性」「可視性」の確保については、システムの導入を行い自動化することで、効率的かつミスなく行う仕組みを作り上げることが可能です。 電子帳簿保存法の適用を受ける場合には、所轄の税務署にて所長の事前許可を得る必要がありました。こちらについても緩和され、令和4年以降は事前の申請を行う必要が無くなりました。 紙で扱っている帳簿、書類を電子化することで、紙の管理、格納スペースを無くし、経年劣化の心配もなくなります。また、デジタル化することで該当の書類を簡単に検索できたり、アクセス権のコントロールなど業務効率化やガバナンス・コンプライアンス強化にも役立ちます。そして、電子帳簿保存法への対応としての意味合いでも今後必要とされる施策です。 また、電子取引に関するデータ保存の義務化は2年間の猶予期間はあるものの、システム改修、導入などの対応を行っていなければビジネスに悪影響が出かねない内容です。早急な対応が必要とされます。 電子帳簿保存法への対応でお困りの方は、ぜひご相談ください。
2021年(令和3年)の電子帳簿保存法改正とは
電子帳簿保存法に関しては、適用の始まった当初は要件、ルールが厳しく、企業側でも導入しづらい状況がありました。しかし、これに対していくどか規制の緩和が行われており、現代の企業の実情にあわせた内容に変わってきています。
2021年(令和3年)にも電子帳簿保存法改正がありました。詳細については、国税庁のサイトにてご確認ください。なお、この改正の適用は令和4年1月1日より始まります。
電子取引の場合の取引情報保存の義務化
ただし、上記通り、令和5年12月31日までは猶予期間となったため、この2年間が環境を整える最後のチャンスです。
また、これまでは電子帳簿、スキャナ保存を利用する場合には事前に税務署への届出が必要でしたが、この事前承認は廃止となりました。利用する場合には特に手続きは不要です。
電子取引の保存では「真実性」「可視性」の確保が必要
電子帳簿保存法の適用を受ける場合の手続の緩和
企業の書類を電子化するサービス
弊社SMSデータテック(SDT)ではオフィスの紙類を電子化、デジタル化するサービス、ソリューションを提供しています。業務のデジタル変革の第一歩としてペーパーレス化を目指す企業をサポートします。
弊社の提供する自動化ソリューションでは、Edulab社の提供するAI-OCR「DEEPREAD」を活用した自動認識を組み合わせることで、ペーパーレス化を後押しします。
相談する