RPAツールで業務を自動化し、効率化に成功した企業は多くあります。日本のメガバンクや、保険会社が競って導入し、例えば三井住友銀行の事例では年間100万時間以上も業務時間を削減した効果を出しています。
そんなRPAツールを今から導入する、あるいは、他のツールに切り替えてみようかな、という会社の担当者の方のために、RPAツールの最新概要と比較で選ぶ、おすすめツール8選をご紹介します。
会社のお悩みに合わせてツールをご紹介していますので、ぜひご活用ください。
オフィスのロボット、RPAツールの概要は以下の通りです。
RPA(Robotic Processing Automation)ツールは、ロボティック技術を用いたPC上の作業を自動化するソフトウェアのことです。
ロボティック技術を用いている点では、FA(Factory Automation)と同様で、オフィスのロボットと呼ばれることもあります。
RPAツールは大きく分けて3種類あり、ロボットがデスクトップにいる場合をデスクトップ型、サーバにいる場合をサーバ型、クラウドサービス上にいる場合をクラウド型と呼びます。
代表的な製品として、UI Path や、NTTデータ発売のWinActor 、RPAテクノロジーズのBizRobo!などがあります。これらの大手では、デスクトップ型、サーバ型、クラウド型のRPAを各種用意し、RPAを効率的に管理できる管理ツールも提供しています。
RPA導入のポイントは、得意業務にしぼった導入をすることです。そうすることで、導入作業も、効率化もスムーズに進められます。
RPAは、PC上の動きを再現することができるツールで「シナリオ」という一連の動きを記憶、再現することが得意です。
一方で、判断したり学習したりと、自立的に機械学習をするAIとは仕組みが違っており、定型的な業務が得意であるRPAは判断学習には向いていないとされます。
オフィス作業で、PCを使う定型的作業である限りは、業務をこなすことができますが、高度な判断や、学習を求めることはできないので、決まった動作を繰り返すにとどまります。
RPAの業務は定型的なものであるため、例えば、転記・チェック・検索・データの収集や加工、整形・定型的な文書の作成・繰り返しの計算など、単純な業務を早く長い時間同じようにこなすことを求められているときに威力を発揮します。
Webアプリ上で、決まった操作を繰り返すようなことも、RPAツールの得意作業です。
しかし、RPAは、ある条件・数値を分類を超えて判断する業務、長すぎて複雑なシナリオの再現などの非定型的業務には向いていません。
そういう業務はAIと組み合わせることが必要と考えられます。
また、マクロが強い数値の置換などは、マクロのほうが作業効率は良いとされています。マクロとRPAもまた組み合わせて使うことが多いのです。
RPAツールを導入すると、次のようなメリットが生じます。
1. 工数削減・業務の効率化
RPA導入の最も大きなメリットは、業務の効率化を達成できることです。
たとえば、6時間かけて2人で行っていた転記作業が、RPA1台で15分といった劇的な成果が出ることは珍しくありません。
2. 人手不足の問題を軽減
RPAを導入し、単純作業をうまくこなすことができれば、単純作業を行う人員が不足した場合に、さらに雇い入れを行うことが不要になることもよくあることです。
3. 人件費・教育費の削減
人手をRPAに置き換えられれば、人件費はそれだけ浮くことになります。
また、RPAは一度シナリオを覚えると、その後は同じ作業をし続けてくれるので、研修費・教育費を削減する効果も生まれます。
4. 単純ミス・結果のばらつきを抑えた仕事ができる
リスクマネジメント上も、単純ミスやクオリティのばらつきを抑えられるので、効果が出ます。クレームが減り、和解金などのリスク対策費用も削減できた保険会社等の事例は、こうしたRPAツールのメリットを生かしています。
反対に、以下のようなデメリットが生じることもあります。
1. 時折大きなエラーが起こる
RPAツールは、時々大きなエラーが出てしまい、作業のやり直し、あるいはシナリオの作り直しが必要になります。十分なテストが必要です。
2. オペレーション管理・セキュリティ管理の手間
RPAツールの運用が数十台単位になると、管理ツールなどで集中管理をする必要があります。また、アクセス権限の管理は人と同様に行う必要があります。管理と業務の両立に、手間がかかると感じられることがあります。
3. IT人員がいなくてつらい場合も
数十台の運用となると、管理サーバ・管理ツールの運用管理を行うスキルを持ったIT人員の存在が欠かせないとされます。
その点、外注する、運用の一部または全部を例えばクラウド型RPAにして誰でも簡単に動かせる運用にする、内部で人を育て、権限移譲を進めるなど、こうした問題にも打ち手はあるように思われます。
4. 導入の際、コストが高い
かつては、RPAツールの導入の際に、コストが高いことがRPAの代表的なデメリットとされていました。しかし現在、クラウド型を中心にサブスクリプションモデルの利用料の支払いで、初期導入費用を抑える導入も可能です。
RPAは、対象業務さえ絞り込めていれば、導入すると高い確率で効果が出るツールです。
<比較の視点>
導入コスト・導入の工数・運用人員の確保・操作の使い勝手のよさ・管理の手間・セキュリティ・将来における運用の柔軟性 など
そこで、迷った時のヒントになるよう、製品を比較、導入・運用時の自社の悩みに合わせておすすめツールを厳選し8製品ご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
シナリオ開発人員不足、現場で自動化をリードしたい:
現場主導の業務改善のために開発されたのが、RPA Robo-Patです。純国産のRPAツール、デスクトップ型で1台から、アプリケーションの種類をえらばず利用できます。
インターフェースが使いやすく、シナリオも技術者でなくてもドラッグアンドドロップで作成可能、コンセプトのとおり「プログラマーや技術者に頼らなくても、事業部門が自力で自動化できる」RPAツールです。
ユーザーの7割は中小企業、ライセンス価格は月12万円からと会社の規模を問わず使いやすい点も優れています。
コストにこだわるなら、おすすめの料金形態はフローティングライセンス:
1ライセンスを複数のPCで利用できて、ライセンスを契約中に増やしても減らしてもOK。そんな柔軟な料金体系で、使い勝手も優れていると評判なのがRoboTANGOです。
いつでもだれでも触れるよう、使いやすさを徹底的に追求している点も特長です。
RoboTANGOは、最もやさしい使い方をすると、PC画面上でカーソルの動きを録画するだけでシナリオが作成できます。初心者でもロボットを導入初日から運用可能です。
月々5万円からの利用が可能です。初めての1台としての導入にも向いています。
とりわけセキュリティが厳しい、そんな会社に:
BluePrismは、英国発のRPAツールで、元祖RPAとも呼ばれています。
特に定評があるのは集中管理で、アクセス権をしっかり管理できるところです。その他にも、セキュリティ関連機能が充実し、金融機関や医療機関でも導入・運用実績が多いのです。
一般のブラウザで専用ブラウザを必要とせず使えるため、使い勝手も上々です。
導入は、年額120万円から、とされるため、1度の投資額としては少なくないものの、管理ツールが別売りでないこと、メンテナンスフィー込みであり、無料のガイダンス・研修プロブラムも充実しています。
医療機関・技術開発拠点など、セキュリティが気になる現場に規模を問わずおすすめできるRPAツールです。
導入はフルサポートがあると助かる:
RPAツールに向いた業務整理を手伝ってもらいたい、操作の問い合わせはベンダーに気軽に問い合わせたい、などなど、特に人員に余裕がなく、どうしようとお困りならフルサポート付きのRPAツールがおすすめです。
まるごとbattonプランなら、すべてをまるっとベンダーに任せて、導入も運用も工数を大幅に削減できます。シナリオの作成も、ベンダーにおまかせでOKです。
クラウド型・オンプレミス型と導入形態が選べること、UIもスマホのように、使いやすいことも特長です。
ロボットの動きを柔軟に設定、ブラウザもスクリプトも対応:
すでに、大手にも導入実績が多く、少しRPAになれた方にも初心者にも使いやすいのがAutoブラウザ名人です。
開発版年40万円、実行版が8.7万円と、年間にすると業界最高レベルの低コストで1台から導入が可能な点も特長です。
初心者の方にも、中級以上の方にも使い勝手が非常に良い点も好評です。
自動再現できない動きは、スクリプトで対応可能、初心者向けのRPAツールでは少し物足りない、マクロは組めるレベルという担当者の方にも満足のいく製品です。
初心者の方にも、中級以上の方にも使い勝手が非常に良い点も好評です。
運用形態を将来大きくしても柔軟に対応できるRPAツールを選びたい:
これらの製品は、日本市場の売り上げトップ3として知られていますが、1台からPCへのインストールで使えて、クラウド・サーバどちらの運用も可能です。
すでに大手企業を中心に極めて多数の実績を誇り、教育研修にも多数の情報が出回っていること、ユーザーコミュニティもしっかりしていることなどから、将来を見据えてこれらの定評あるツールを使うことも選択肢の一つです。
年間のコストはどの製品も1台100万円前後から。管理ツールもそれぞれにそろっているので、トライアル版から始めて、数十台の運用など、多くの業務の効率化を目指すことができます。
RPAツールは、定型化された業務に絞り込んで導入すると、自動化により圧倒的な効率化を進められることが最大のメリットです。
製品選びの際には選択肢も多いので、この記事での比較の視点と、おすすめ製品を参考にして選定してみましょう。なお、使い勝手は触ってみないとわからない面もあります。ご紹介した製品にはトライアル版がありますので、触って比較することも大切です。